2012年6月10日の説教要旨

「神の栄光のために生きる」

コリントの信徒への手紙一 10章1節〜23節 11章16節

「すべてのことが許されている。しかし、すべてのことが益になるわけではない。すべてのことが許されている。しかし、すべてのことがわたしたちを造り上げるわけではない。 だれでも、自分の利益ではなく他人の利益を追い求めなさい。」(23〜24)。6章に続いて、「すべてのことは許されている自由」をパウロは強調します。だから何でも自由にしていいのではない。人が神様と共に生き、神様に祝福されるためには、自分を制御すること、我慢すること、忍耐することが大切です。アダムとエバの「エデンの園」の記事のように、神様は「園のすべての木から取って食べなさい。ただし、善悪の知識の木からは、決して食べてはならない。食べると必ず死んでしまう」(創世記1:16)と命じられました。人間が人間であるためには、自らの限界を忘れてはならない。悩みがあること、苦しみがあること、不安があること、心配があることは辛いことであるが、それが生きている人間のあるべき姿なのです。

この島之内教会にも、善悪の知識の木があります。キリスト教会の礼拝堂には、人間の都合で無くすることの出来ないものが一つあります。講壇の真ん中の椅子です。これは、教会の主であるイエス・キリストが座る椅子を意味します。これを無くすることは、主イエスを締め出すことになり、主イエスの教会でなくなります。この椅子を司会者や牧師の椅子と同じにすることは、主イエスを人間の価値に引き下ろすことになります。ここに座ることは、主イエスの座を奪い、自分が神であることを宣言することになります。真ん中の椅子は大きくて、立派である。私たち、人間には自由に出来ないことがあるシンボルの椅子である。また、この椅子に座る主イエスへの服従が信仰です。

自分の都合や自分の好みや自分の希望のために、自由に生きることも確かに許されている。しかし、自分が全ての決定権を持っているように、与えられている自由を自分の希望実現のために用いることは、自分を神様の座にすわる罪です。

島之内教会の創立者たちの信仰の強さは、主日礼拝を守ることができなければ、仕事もやめ、職種も変え、店もたたむほど、神様を第一に生きた。教会の主であるイエスさまが真ん中の席に座り、私たちの帰ってくることを待っていて下さるのに、商売をしていることはあり得ないことであった。時間に遅れることも彼らにはありえないことであった。

確かに、礼拝に遅れない方が良い。だが、主の前に出ないよりは、遅れても出る方が良い。礼拝に出席しないよりは、急いで来て、「祝祷」を受けるだけでも信仰的に良いことである。

さて、今朝は、まだ食べ物のことについてパウロは語っている。「市場で売っているものは、良心の問題としていちいち詮索せず、何でも食べなさい。地とそこに満ちているものは、主のものだからです」(25)と教え、また 「わたしが感謝して食べているのに、そのわたしが感謝しているものについて、なぜ悪口を言われるわけがあるのです。」(30)と教えている。何を食べても自由である。しかし、その自由も制限がある。宗教上、食べ物を制限している人の前では、自分の自由を制限することが主イエスにある愛、思いやり、優しさです。私たちが食べるのは、人のために食べないのではない。私たちは、「あなたがたは食べるにしろ飲むにしろ、何をするにしても、すべて神の栄光を現すためにしなさい」(31)との教えを忘れてはならない。

よく言いますように、教会では、善悪の問題よりも、常に私や教会が「神の栄光のために」(31)生き、働いているかを問わなければならない。同時に、主イエス・キリストの十字架と復活によって、許されている感謝と喜びを持って、弱い人を優しく包み込む心を忘れてはならない。私や教会の正義が壊されても、相手の人に、希望を語り与えることが教会です。人を困らせ、悩ませ、惑わせ、苦しめることは教会の使命ではない。教会の使命は、人に喜びを与え、希望を与えることです。

パウロは、「わたしには深い悲しみがあり、わたしの心には絶え間ない痛みがあります。わたし自身、兄弟たち、つまり肉による同胞のためならば、キリストから離され、神から見捨てられたても者となってもよいとさえ思っています」(ローマ9:2〜3)と語り、また、で「わたしたちはあなたがたをいとおしく思っていたので、神の福音を伝えるばかりでなく、自分の命さえ喜んで与えたいと願ったほどです」(第一テサロニケ2:8)と語っている。

パウロには、自分だけが、救われている喜びはなかった。兄弟たちやユダヤの同胞が自分と同じように救いに与かっていないことは、悲しみであり、痛みであった。このパウロの真剣さを想起しながら、私たちも、自分の家族に、知人に、友に主イエスの愛を伝えましょう。

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