2012年7月8日の説教要旨

「神様の御言葉を預かって語る」

コリントの信徒への手紙一 14章1節〜40節

再び、賜物についてパウロは語ります。「愛を追い求めなさい。霊的な賜物、特に預言するために賜物を熱心に求めなさい」と奨めている。「愛」とは、主イエス・キリストの十字架と復活を想起し、私のような者でも、生かされている、赦されていると、神様への感謝の心から生まれるもののことです。神様から許されている喜び、愛されている感謝を想起し、その一点から世界を、家族を、人々を見つめ直す心が愛です。

当時は、私たちが想像する以上に、教会には異言を語る人が多かったようです。パウロも異言を語たる賜物を持っていました。「わたしは、あなたがたのだれよりも多くの異言を語れることを、神に感謝します」(18)と語っています。

パウロは異言より預言を重んじています。預言とは、その言葉の通り、「言葉を預かる」ことです。神様から御言葉を預かって、その預かった御言葉を人々に伝えるのです。伝えるためには、第一に必要なことは、伝える言葉を預かることです。聖書の言葉を預り、また、それを正しく、人々に通じる言葉で語れるように、神様の霊、聖霊に導かれることが大切です。また、同時に、聞く者も、神様の御心を知りたい、神様の導かれたいとの祈りを持って、聖書に聴く生活が大切です。

教会が主イエスの教会であるためには、主語が「私」で、私はこのように考える、このように思うことから、主語が「神様」になって、神様は聖書を通して、私にこのように語られた、このように命じられたと、主語が「私」から「神様」変わることです。それがパウロが教える預言を重んじる生活であり、それが信仰生活です。私たちの言動の主語が「私」か「神様」かをよく考えてみることが大切です。コリントの教会の多くは、主語が「私」であり、神様が主語のなっていなかった。自分を主語にして議論する姿は、神様から御言葉を預かっていない姿と言える。

コリントの教会の有力者が教会の内外の人々が理解できない異言を語ることを自慢していた。また、異言を理解できない人々を信仰の無い人のように見下す傲慢な信仰者になっていたことをパウロは心配している。人々が理解できない言葉で語ることは、主イエスの教会を造り上げることにならないし、それは空しいことなのですよ、と教えている。

教会は多くの使命を持っており、その一つが「伝道」であると思っている人も少なくありません。しかし、教会の使命は「伝道」が全てなのです。CHURCH HAS MISSIONではなく、CHURCH IS MISSIONなのです。だから、教会は、主イエス・キリストを人々に伝える伝道、宣教が使命ですから、その言葉は、神様からお預かりした言葉からで離れてはなりませんし、同時に、聞く人々に理解してもらえる言葉、通じ合える言葉でなければならない。

パウロは異言を重んじていますが、異言が持つ、最大の欠点は、「誰にもわからない」、「何の役に立つでしょう」、「空に向かってかたることになる」、「外国人に語っているようなもの」、「通じない、異言で一万の言葉を語るより、通じる五つの言葉を語る」と教えます。

コリントの教会は、自己満足的で、新しい人や他人に理解される必要性を自覚せず、自己中心的な教会であった。パウロは、教会が異言的であること以上に、預言的教会であるべきだと教えます。新しい人に理解され、役立ち、悔い改めへと導き、神を礼拝する人へと新生してもらえる預言者的教会になることを願っている。

神様から御言葉をお預かりして、そのお預かりした言葉を人々が理解できる言葉で語る預言は神様の栄光を現わす。他方、異言は自己満足的で、神様の栄光を伝えないで、信仰者の自分を伝える大きな間違いとなる。なぜなら、神様から御言葉をお預かりして、語る者によって、教会を造り上げることが出来るのです。教会を主イエスの教会に造り上げるためには、預言者であることの大切さを教えている。聖書の御言葉に聴くこと、聖霊の助けを祈ること、そして、神様の栄光を伝えることが教会の生命線です。「あなたがたの場合も同じで、霊的な賜物を熱心に求めているのですから、教会を造り上げるために、それをますます豊かに受けるように求めなさい。」と預言を求めることを奨めています。

家庭では、家族に理解されない異言の祈りもしても良いが、家族に理解される言葉でも祈ることにしましょう、と教えている。そうしないと、家族にとって、信仰者は言葉や価値観を共有できなくなる。家族のさまざまな課題に、理性的な言葉で教えることも必要ですが、どの課題も神様にお委ねして、祈る信仰者でなければならない。信仰者は、相談者の悩みを解決する必要はないのです。そんなことは出来ない。「一緒に祈ろう」、「祈らせてもらうね」と主イエスに「執り成しの祈り」をすることが信仰者の使命です。

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